第3回シンポジウム開催報告

第3回シンポジウム “Challenges of the Second Year” を開催しました

  • 開催日時: 2015年10月29日 (木)
  • 場所: 早稲田大学 西早稲田キャンパス55号館1F 大会議室
  • 主催: 早稲田大学 実体情報学博士プログラム
  • 共催: 早稲田大学 スーパーグローバル大学創生支援 ICT・ロボット工学

当プログラムが実質的に始まってから1年半強が経過しました.昨年度に引き続き,招待講演や学生の活動報告を含む形でシンポジウムを開催しました.以下では日本語で報告を行いますが,当日の各項目は英語を公用語として実施されました (レセプションを除く).

早稲田_第2回シンポジウムポスター

■ 招待講演

それぞれの分野で著名な3名の先生方に招待講演をお願いしました.

  • Trends in robotics – the next generation of intelligent machines
    Rolf Pfeifer (Professor em. University of Zurich, Switzerland)

    • 「知能の原理 ―身体性に基づく構成論的アプローチ―」などの著作で著名なファイファー先生がロボティックスにおけるトレンドということで,とくに “Soft Robotics” について話されました.Soft Robots とは,様々なレベルにおけるソフトなデザインを行うことで,実世界で効率的に機能を果たすロボットを指します.ここで,様々なレベルには,表面(皮膚),動き(筋肉),他の主体とのスムーズでフレンドリなインタラクションを含みます.実体の持つ形状などの物理的な要素が柔軟で有効な機能を果たす上で特に重要であることを豊富なビデオ映像とともに示されました.
  • Making Robotic Characters Look Alive
    Katsu Yamane (Senior Research Scientist at Disney Research)

    • ロボットがいかにして生きているキャラクタのように自然に振る舞うことができるかに関して,現在,ディズニーの研究所で研究を進められている山根博士が講演されました.このような目的へ向けて重要な要素は,動き,反応,そして安全性の3つにあるということで,人間の動きをいかにロボットに「移す」か,人間とロボットの協調的な動作の実現,やわらかいロボットについての研究動向を,こちらも豊富なビデオ映像を用いながら説明されました.
  • The Fourth Industrial Revolution based on Cyber-Physical Production Systems
    Wolfgang Wahlster (CEO of the German Research Center for Artificial Intelligence (DFKI))

    • 最後の招待講演はロボットから少し離れ,IoT (Internet of Things) や CPS (Cyber Physical Systems) に関するドイツ・欧州の研究開発動向 (Industrie 4.0) を,特に,産業界・製造業への適用に重点を置きつつ,ドイツ人工知能研究センター(DFKI) のCEOであり,ザールラント大学の計算機科学科教授でもあるバルスター先生が説明されました.キーワードは,多品種少量生産ということで,これを可能とするための要素に関する技術,これら様々な要素を統合的に扱うための意味技術,さらには関連する標準化などの動向について,豊富な事例を交えながら解説されました.
Pfeifer Yamane Wahlster
Prof. Rolf Pfeifer Dr. Katsu Yamane Prof. Wolfgang Wahlster

■ 学生活動報告

3名のリーディング生が授業に関連したプロジェクトや自主的な共同研究に関する活動報告を行いました.いずれも技術をベースにしながらも,社会的な問題にアプローチしたものになっています.

  • Novel Social Innovation Concept Based on the Viewpoint of the Infrastructure User
    Gonzalo Aguirre Dominguez (L4 student)

    • L4 (D2) 学生である ゴンサロ・アギーレ・ドミンゲス君が本プログラムにおける授業「イノベーション事例研究 (森 欣司教授担当)」に関連して行った活動を報告しました.この活動はベトナムを対象としており,生活レベルの向上のためには教育レベル・環境の向上が欠かせないという前提にたち,そのために貢献する鉄道システム観点という観点から調査,アイディア開発,現地でのプレゼン・議論を行ったものです.
  • How to Develop a New Product for Developing Countries as a Student Project ~Ankle-­Foot Coupling with Rubber Cushion for Walking on Uneven Terrain~
    Ryosuke Tsumura (L2 student)

    • 2件目は,実体情報学工房における学生の共同研究プロジェクトの一つである「義足プロジェクト」に関して,L2 (M2) 学生である津村遼介君が報告しました.不整地でも安心して歩行できる義足を安価に実現することにより,ニーズの大きい発展途上国 (例: カンボジア) に展開できることを目指しています.このプロジェクトに関する研究発表は,LIMBS Design Competition で表彰されています.また,海外機関との共同研究も計画されています.
  • Interacting with the voices of the mountains ~”Musasabi” Project~
    Takuya Kato (L2 student)

    • 最後は,本プログラムにおける授業「実体情報学特別演習 (白井裕子准教授担当)」に関連して行った活動(通称:やまスクール)から派生したプロジェクトについて,L2 (M2) 学生である加藤卓也君が報告しました.「やまスクール」は,実際に林業の現場に出向き,林業における様々な課題を学び,技術的な手段による解決を検討する貴重な機会になっています.”Musasabi” Project では,センサー系(自作)から取得した環境データをCG技術により可視化するシステムを実現しています.
 Gonzalo  Tsumura  Kato
Gonzalo Aguirre Dominguez Ryosuke Tsumura Takuya Kato

■ ポスターセッション

リーディング生による計26件のポスター発表があり,招待講演をお願いした先生方,ご来場いただいた皆さま,本プログラムの学生・教員による活発な議論が行われました.(ポスター発表のタイトルは Abstract book をご参照ください)

Poster3 Poster5

■レセプション

場所を 63号館ロームスクウェアに移し,レセプションを開催しました.会場ではいくつもの輪ができ,シンポジウムにおける議論の続き,研究に関する情報・意見交換がリラックスした雰囲気の中で行われました.参加者相互の交流を深める良い機会となりました.

Reception4 Reception2

■さいごに

招待講演をお願いした先生方,ご来場いただいた皆さま,本シンポジウムの実行に関わった全ての教職員,学生諸君に感謝致します.次年度もよろしくお願いいたします.

 

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